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私が25年前ほど前に所属していた会社のつくる家は、伝統+モダン設計の家が主で、
自然素材(樹脂系のものが少ない)を使用する京阪神間では少し有名な会社でした。
建てているほとんどが、外構も含めると1棟あたりが何億もするような住宅も多かったので、
一つ一つにこだわった建材を使用していたというより、金額に関わらずこだわれたのです。
自然素材といっても当時手軽に扱えるものでは無く、屋根は玄昌石か陶器瓦、外壁は自然石、レンガ、漆喰で、
室内も漆喰、土壁、布クロス、床は無垢の檜や大理石、窓は大型ガラスやステンドグラスをはめ込み、
トイレまでの通路が石、浴室も造作浴槽の檜かタイルで床壁暖房仕込み、暖炉、ジャグジー、プール、
全館空調に室内どこでも掃除機のホースをつなげるセントラルクリーニングシステム、大きな門と高い壁などなど、
それは贅を尽くした住宅は図面を見ているだけで楽しかったです。
私が言うのも何ですが、非常に優れた建築家が建てる本当に美しい家ばかりでした。
いまでもそういった超高級住宅を建てる設計事務所が多く存在しています。
若かった当時はそれが最高な家だと思っていました。
しかし、機能面でいうと、当時からパッシブデザインを取り入れていましたので、
夏は風が上手く流れ、日差しも庇でしっかりと遮るのでそこそこ涼しいのですが、
(広い土地で樹木が多いと言うのもありました。)
冬に窓を閉め切った時には大ガラスの窓際はまだしも、北側が非常に寒かったのです。
日本ではデザイン重視、カッコよさ重視の時代でしたので、
服は寒くても薄着、車も不便さよりもデザインを取るという人が多く、
カッコいい、美しい>性能が良い、機能的
があたり前でした。
その為、気にされてはいないとは思いますが、冷暖房費がものすごくかかっていた様です。
その会社にいた時代に建てられた家に住んでいる方のお宅に伺ったときは、
「デザインは.〇〇先生のデザインやし今でもカッコいいやろ。
物凄く気に入っているから変えたくないけど、もう、冬が寒いねん。
最近しんどくなってきてなぁ。」
と仰られました。
なので、外観デザインを変えずに断熱気密+耐震改修するか、息子さんの意向に合わせて建替えするか、
家族内で検討しているとのことでした。
しんどくなる家。
ご本人はずっと住まれているし愛着と慣れもあるでしょうが、息子さん家族は寒いのが嫌だとのこと。
体力がある年代しか住めない家、身体の調子が悪くなる家は困りますが、どう思われますか。
それでもそれを維持するか、生活しやすい様に建て替えるか。
しかし、『美しい家』というものがどんなものか経験できたことは、後の私にとって貴重なものです。
一流で粋な物、それを選択できるセンスを時代と共に磨いていただいたと思います。
ハウスメーカーの家しか知らず、それが良いと思っている後輩も多くいますので。
そういった経験も含め、『 DANSK DESIGN の家 』はデザイン性はもちろんのこと、
超高断熱、超高気密は勿論、機能的で美しく、何歳になっても暖かく、心地よく、
次世代へ引き継いでもずっと快適に過ごしていただける仕様になっています。
ちなみに、この写真ぐらいの大きさやもっと大きなサイズのトリプルガラス窓になってくると、
樹脂ではガラスが重すぎて製作が無理です。
そうなるとアルミか木になりますが、断熱を考えると木製しかありません。