窓会社を出てから、再度車で2時間ほど南下し、

デンマークの幼稚園を見学させて頂くためデンマーク最南端でドイツ国境近く、

海と森に囲まれた美しい町「Aabenraa」へ向かいました。

こちらの園は、友人の娘さんが通っている園で、我々は特別に見学させて頂きました。

ここでは子供たちが車に乗って森へ移動する必要はなく、外からは見えませんが、

園舎の裏側である西側に大型遊具や小屋のある広い園庭があり、奥が深い森になっている自然に恵まれた環境です。

建物の外壁は耐久性のあるデンマークレンガと木板貼りの平屋建てで、窓とドアは勿論「木製」です。

暖房器具はどの家や施設にも必ず窓際にパネルヒーターがあり、ここも空気を汚さないので環境は完璧と言えます。

内外の自然素材がまわりの環境に溶け込む建築は、一般住宅と外観が変わらない感じになっています。

デンマーク人の育て方を聞くと、「主体性のある人間に育てたい」といいます。

その通りデンマーク人は良いこと悪いこと、自分のすること全て自己責任の気持ちで考えます。

その為、選挙にも8割以上の人が行きますし、「自分の国は自分たちが造る。また、造ってきた。」という気持ちが強いのです。

今では主体性を持つ人間の育成を中心としたデンマークの教育を、単に森へ行くという「かたち」だけでなく

「考え方」そのものを取り入れたいと、日本だけでなく世界から多くの保育関係者が研修や見学に来ます。

日本では「森の幼稚園」や「森の保育園」と呼ばれる自然の多い幼稚園です。

しかし、デンマークでは、森しか行かない場合を除いて、幼稚園児たちが自然や森へ行くのは当たり前ですので

「森の〇〇」という表現のところはほぼありません。

その特徴を少しあげると、

①毎日森へ行く

何人か子供同士のグループでその日に何をするのか計画を立てさせ、子供たちだけで人数などを確認し合いながら行きます。

日常生活と同じように雨でも雪でも森へ行きます。そこで虫を取ったり、観察したり、何かを作ったりします。

たまにはランチを持って朝から夕方までずっとそこで過ごします。もちろん、森だけでなく川や海へも出かけ、

五感をフルに使って体験することを重視した生活を行っています。

もちろん部屋の中で過ごしたい時はそれも自由です。また、何もしない時間も次へのステップになります。

そうすることで自然に対しての愛着が沸き、自分のいる環境の事を意識するようになるそうです。

（森では帰れる範囲を超えないようにこっそりと監視しているそうです。）

②常に自分で考えさせる

森や園内での様々な経験のなかで怪我をする子もいますが過保護にしません。

次はしないようにするにはどうしたらよいかを自分で考えさせます。

主体性の基礎である「考える心」をつくるためです。

それで森へ行かなくなった子、逃げ出した子はいないそうです。

森や作業小屋では、切ってきた木や葉を切る為、小さい手で大きなノコギリやナイフも使います。

危ないからと言ってなんでも先回りしたり準備をして安全を押し付けません。

③運動会をしない、競わせない

誰かに見せる為に運動会をすることもありません。

もちろん運動としてのスポーツはします。

成長につれ学校では競争が出てきますので、保育園の時期にはまだ競争させません。

ですので、スポーツも勉強もテストはしません。テストのための勉強になるからです。

また、一人だけが勝って他が負けるようなことをさせないことで自尊心を高め、自信をつけさせています。

④料理を作る

月に一回は園児全員で料理を作ります。

その為に子供サイズの高さと奥行きの広々とした「家庭用」キッチンがあります（コペンハーゲンの保育園でもありました）

そして食べるだけでなく、出された食事や食品に対しての知識や大切さ、その調理方法など全てを楽しく学びます。

⑤就学前準備

幼稚園と小学校の間に準備の為に中間の学校があり、親元から離れ近くの宿泊施設でのお泊まり体験、

語学、数学など様々な勉強をします。

⑥保育士

上は70代の方もいて、年齢幅を持つことでデンマークの一般的な家庭に近い保育環境をつくっています。

個々に合わせた保育をするのでそのほうがよいと考えています。

おまかせしても安心でしょうが、親と合った際には長く会話してどんな生活をしているのかを話します。

⑦美術館へいく

単なる写生をさせるのではなく、その絵がもっとよくなるにはどうするかを考えさせ、

思ったそれを書きます。

他に、お菓子を自分たちで分けるときに数が合わない場合には自分たちで交渉させるなど、

自分の考えを話し合い協調性も育てる保育を毎日実践しています。

もっと知りたい方は一緒にデンマークへ行きましょう！

※細かいルールは各園で似ていますが全て同じではありません。あくまでこの幼稚園のお話です。　

・園の概要：私立　人数：60人　年齢：1歳～6歳

・デンマークでは育児休暇が1年あります。一般的に、また園の他に1歳までの乳児だけ預ける施設や個人宅もあります。　　

・ここは名前にKindergartenとあるため題の表記を「幼稚園」としています。

・デンマークではKindergartenは保育園の意味もあり、主には就学前児童を預ける場所の総称です。

・ここは保育園・幼稚園・主学前の幼稚園学校システムがあります。